2020/2/23

退職金をどう使うか? 4

 退職金の運用方法として、絶対にやってはならない(買ってはならない)ものについて述べてきました。
 一つ目は、FX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨(暗号資産)等の投機、すなわちギャンブル。
 二つ目は、大手金融機関が、特に、高齢者や富裕層向けに展開している、「ラップ口座」であります。
 三つ目として、「外貨建て保険」を挙げます。
 国民生活センターによりますと、この保険に関する相談、すなわちトラブルが増加しており、今年度の相談件数は1月末で、約500件、前年比4割増しだそうです。
 トラブルの内容は一概ではないですが、そのかなりの部分は、外貨建てに伴う為替差損、すなわち元本割れが多いようです。
 
                     以下、問題点を整理すると、
 
 1 「保険」という、文字通り将来起きるアクシデントに備えるための金融商品において、外貨建て、すなわち元本割れが起きることが容易に想像できるものを、設定する保険会社。
 2 その商品を、何の疑問も抱かず手数料目当てで販売する金融機関。
 3 しかもその相手が、多額の資金を持ち、しかしながらそれに比例するだけの金融知識を持たない高齢者や富裕層であること。
 
 開いた口が塞がらないとはまさにこのことであります。
 昨年、かんぽ生命の不適切販売が大きな問題となりましたが、それでは既存の生命保険会社や販売会社がかんぽに比してクリーンかといえば、そんなことは無い、五十歩百歩であるということが、お判りになると思います。
 
 今、全ての金融機関が低金利のなかで資金運用に苦労しており、その代替手段として手数料稼ぎの商品に走っています。
 そのこと自体は必ずしも批判すべきことではありませんが、当然ながらそれを行うには、合法かつ倫理に反しないことが絶対条件であります。
 金融機関にそれらを望むのは当然でありますが、と同時に国民もそれなりの知識を身に付けないと、彼らにいいように利用されるだけであります。
 
 この文章をお読みの方々が、これまで述べてきたような不適切な商品に騙されず、正しいアドバイスのできる適切な助言者を選ばれることを、切に望むものであります。