2020/5/27

資産形成における「分散」の意味について、再確認しよう ! 2

  本年4月、某経済紙に以下のような記事が掲載されました。
 
 題名 「分散投資が効かない」
 内容 (要旨)
 ・コロナショックにより、「グローバル3倍3分法ファンド」の価額が急落した。
 ・3倍という意味は、現物1対先物2の割合、すなわち合わせて3倍になるというもの。
 ・3分というのは、株、債券、不動産に分けるというもの。
 ・「増やすための分散(笑)」というコンセプトが評価されていた。 
 
 以下、ポイントに分けてご説明いたします。
 
 1 急落したといっても、元本割れはしていない。
 2 先物2というのは、レバレッジ、すなわち「事実上の借金」であること。
 3 資産形成における「分散」の意味が、作成者も記者も全く判っていないこと。
 
 資産形成における「分散」とは、
 ①まず、貯蓄(元本保証商品)と、投資(元本保証されない商品)に分け、
 ②それぞれの分野で、2~3に分け、リスクを分散する、
というものであります。
 
 上記のように、一つのファンドの中で複数の金融商品を組み合わせるというのは、通称「バランス型投信」と呼ばれるものであり、決して「分散」ではありません。
 
                          そもそも、
 
 株と債券というのは、原則的には真逆の値動きをするものであり、すなわち株が上がれば債券は下がり、株が下がれば債券は上がるという性質があります。
 したがって、この二つを同じファンドで組み合わせるというのは、自動車の運転に例えればアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものであり、非効率の最たるものであります。
 
                           さらに、
 
 これに不動産を加えるなどというのは、料理に例えれば和食と中華と洋食の料理を一つの皿に盛るような、考えただけでも吐き気をもよおすような代物であります。
 
 こんな馬鹿げた商品を「15年かけて開発した(笑)」(運用会社部長)というのだから、全く出来の悪いジョークとしか言いようがありません。
 私ならこの開発者に対し、「刺身と麻婆豆腐とステーキを同じ皿に盛った、正体不明のごった煮料理を、借金までして食わせるのか!」って、1秒で怒鳴りつけますね。
 
                         根本的に、
 
 分散投資の意味が判っていない者が作って売り、分散投資の意味が判っていない者が記事に書くという、全くお粗末きわまりない内容ということになります。
 
 何度も述べていますが、金融機関の社員というのは、「資産形成商品を売って手数料を稼ぐプロ」であり、勉強不足の新聞記者というのは、「金融業者から言われたことを、何の疑問も抱かず文章にしてお金をもらうプロ」にすぎません。
 
 生命の次に大事なお金の運用のアドバイスは、真の意味でのプロフェッショナルに依拠されることを、強くお勧めいたします。