2020/5/31

資産形成、貴方は誰に依拠しますか?

 政府による緊急事態宣言が解除され、いよいよ6月1日から経済・社会活動が本格的に再開されます。
 この間亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、遺族の方に心からのお見舞いを申し上げます。
 また医療従事者を始め、さまざまな分野で国民の生命・社会活動維持のために働かれてきた皆様に、心よりの御礼を申し上げます。
 
                    今、私たちがなずべきことは、
 
 一人一人がそれぞれの部署で、自分に課せられたしごと(対価の有無を問わず)をし、可能な範囲内で、自分のため、社会のため、世界のためにお金を投ずる、すなわち投資することであります。
 
                          ところで、
 
 投資するとひとことで言っても、知識や経験が十分でない方が多いかと思われます。そのような場合に文章を読んだり、話を聞いたりして、学ぶということが大事です。
 そしてなによりも大切なことは、「誰から、どのようなことを学ぶか」であり、このことを間違うと時間の無駄とお金の損失につながりかねません。
 
 1 「5000億円のお金を運用し、プロ野球選手並みの年収を得たファンドマネージャー」
 ある書籍のうたい文句です。こんな肩書を見たら、一にも二にもこの方を信用したくなるでしょう、しかし騙されてはいけません。
  ①「5000億円」運用した、というのはたぶん事実でしょう、しかしながらこの方がその5000億円を使い、どれだけ顧客に利益をもたらしたかは、数百ページの本の中で1行も触れられていません。
  ②「プロ野球選手並みの年収」
 そりゃそうでしょう、5000億円も運用してれば会社に入る手数料だけで、50億円くらいですから、その5%を報酬として得れば、たしかにプロ野球選手並みの年収はありかと思います。
 しかしながら大切なことは、このオッサンがいくら儲けたかではなく、いくら顧客を儲けさせたか、その一点につきるのですが、これまた1行も触れられてはおりません。
 ③そもそも、ファンドマネージャーなる者の相場的中率は、チンパンジーが、ダーツの矢を投げて当てた会社の株価が上昇することの的中率より、下まわるというのは、当欄ですでに述べたとおりです。 
 
 
 2 「東大卒、財務省出身で、コンピュータを駆使する資産運用会社社長」
 こんな肩書を見たら、一にも二にもこの方を信用したくなるでしょう、しかし騙されてはいけません。
 「東大卒、財務省出身」は事実でしょう、しかし「ただ、それだけ」です。
 「コンピュータを駆使する」これも事実でしょう、しかし「だから、どうしたの?」です、私に言わせれば。
 将棋の世界でコンピュータが人間の棋士に勝ちましたが、それはある意味当然です。何万とある定石を記憶し、瞬時に選択するスピードは機械の方が早いですから。
 
                        しかしながら、
 
 投資の世界は違います。何年後・何十年後に伸びる技術・会社を予測するのは、将棋の定石(過去の蓄積)とは違い、未来を予測するものであります。
 大井競馬の予想屋のオッサンとさほど変わらない程度の結果しか出せないコンピュータに、資本市場の未来など予測できるとは、到底思えないわけで、ま、そこいらで買ったパソコンで、エクセルに適当な数値を入れた程度のものだと思いますよ、たぶん。
 
 生命の次に大事なお金の運用、くれぐれも表面上の言葉やうたい文句に騙されることなく、冷静に正しく判断されることを切に願うものです。