2020/11/6

残高連動報酬にだまされるな!3

 投資信託にかかるコストについて、前回記しましたが、まあよくもこれだけ並べたというくらい、多くの種類があります。
 
 以下、「成功報酬」と、「残高連動報酬」について、ご説明いたします。
 
 1 成功報酬
 顧客の資産が上昇した場合のみ、その上昇分の何割かを運用者(会社)が受け取るもの。
 我が国においては、少なくとも私の知る限りなかったが、今春以降初めて誕生した
 
 「農中バリューアセッツメンツ」の「おおぶねグローバル」  値上がり益の10%の成功報酬
 「三井住友DS・AM」の「日本株主還元ファンド」        〃   10%
 「楽天証券」の「楽天みらいファンド」             〃   13%
 「三菱UFJ国際投信」の「百戦錬磨の名人ファンド」       〃   15%
 
 などなどです。
 一 当然ながら、値上がりした時のみ取られるコストである。
 二 ただ、この中にはデリバティブを使い、短期的に力づくで価格を上げようとするものもあるので、初心者にはお勧めしない。
 
 2 残高連動報酬
 読んで字のごとくで、資産残高の何パーセントか(1~2%)を取られる。
 
               ということは、
 
 10000円でスタートしたファンドが、15000円に値上がりした時も、8000円に値下がりした時も、同じ割合で取られる。
 前者はともかく、後者の場合、①値下がりして元本割れしたあげく、②その上、余分な金を取られるという、まさに「悪魔のコスト」のファンドである。
 
 結論
 ア 「成功報酬」とか、「残高連動報酬」とか聞くと、一見似たような名称であり紛らわしい。
 イ そもそも、値上がり益は本来100%投資家にゆくべきものである。
 ウ 値下がりしても金を取られるなど、問題外である。
 
                というわけで、
 
 投資の初心者におかれましては、iDeCoやつみたてNISAといった国の制度を使い、
 世界株のインデックスファンドで、コストの安いものを、長期複利で運用する、
 という資産形成の王道を歩んでいただきたいと、考えるものであります。
 
                以下、整理しますと、
 
 〇 iDeCoのインデックスファンド    値上がり益の100%、顧客の利益
 △ 成功報酬のファンド          〃    90%  〃
 ✕ 残高連動報酬のファンド      上がろうが下がろうが、確実に1%以上取られ、
                   元本割れすれば、二重のマイナス!
 
 コロナウイルスで日々何万人もの生命が失われている今日、生命の次に大事なお金を、正しく運用し、自分のため、社会のために活かしていただきたいと、切に願うものです。