2021/1/19

犬は吠える、キャラバンは進む!2021冬

 最近読んだ本がありまして、その紹介と感想、そしてこれから私たち投資家がなすべきことについて、述べたいと思います。
 
 「ソフトバンク 農中 ゆうちょ 崩壊の危機」という題名で、上記3社の財務状況に警鐘を鳴らすとともに、日本・世界の経済、資本主義に対し、警鐘を鳴らすというものです。
 
 1 ソフトバンクグループ
 ご存じ日本を代表するIT企業であり、そうなるに際しては莫大な投資、かつ借入金による投資を続けたことにより成り上がりました。
 現在同社の抱える負債は約30兆円、そのうち約20兆円が有利子負債、すなわち借金であり、そのことをもって、同社の行く末に疑問を呈しています。
 確かに20兆円という借金は膨大な額であり、それだけ見たら将来性に疑問を呈するのも当然です。
 
               しかしながら、
 
 簿記の知識がある方なら、負債の反対側に「資産」すなわち会社の財産の項目があるのであり、その両方を見るべきことは、商業高校の1年生レベルなら判ることであります。
 同社の資産は約37兆円、そのうち保有株式が31兆円となっており、しかもその会社はアリババやヤフーであり、ヤフーはLINEやZOZOの株主であります。
 
                すなわち、
 
 20兆円という借金はあるが、その反対に31兆円という優良資産があるわけで、31マイナス20は、プラス11兆円、この会社のどこが先行き不安なのでしょう?
 かつてのバブル期の野放図な投資とは、性格も中身も違うのです。
 
 2 農林中央金庫 及び ゆうちょ銀行
 双方とも金融機関でありますが、その成り立ちや法律により、一般の銀行とは性格が異なります。
 詳細は省くとして、同書が問題としているのは両社が保有している「CLO」という資産についてです。
 「ローン担保証券」と訳されるもので、米国を中心とした銀行の貸付債権をまとめて証券化したものであり、利回りが良い分、不良債権化のリスクもあるものであります。
 実はこれと似たものが、「CDS」や「CDO」と呼ばれるものであり、あのリーマンショックにより、全世界で紙屑同然になったシロモノなのであり、そういう意味で、同書が危険視するのも、あながち間違ってはいません。
 実際、農中はリーマンショックの時、上記証券の不良債権化により、膨大な損失を計上しました。
 
                しかしながら、
 
 借金の反対に資産があるように、損失の後には利益があります。
 農中は確かに膨大な損失を計上しましたが、それは1年ぽっきりであり、以降の10年以上は着実に利益を積み上げ、棄損した資本も健全化しています。
 
 ①借金をせず、安定した投資で運営してゆくというのは会社経営の理想です。ですが、と同時に②借金を元に投資したり、リスクマネーへの投資をするということも、同じように大事なのです。
 
 資産形成も同様であり、①安全確実な「貯蓄」をしっかりキープしたうえで、②リスクはあるが、反面大きなリターンが期待できる「投資」を行うということは、個人のみならず、社会・国家の富を増やすということにおいて、とてもとても大事なことなのであります。
 
      ワクチンや治療薬を創る「株式会社」を、育て、強くするためにも!
 
           (注)当ブログは、特定の会社の株を推奨するものではありません。