2022/2/24
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若者の投資教育について |
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ファイナンシャルプランナーとして、時代を担う若者のための資産形成のサポート事業を、日々しております。 今年の4月から、高校において投資教育の講座が始まるそうで、先日その模擬授業なるものをテレビでみました。 教師が、白板にコカ・コーラとナイキという字を書き、なにやらしゃべっています。 たぶんですが、この2社を例に取り、無名だった企業が世界有数の大企業となり、結果株価が莫大に上がり、株主は大きな富を得た、みたいな話だと思います。 これから、こうしてこのような授業が全国で繰り広げられるとしたら、大いなる問題であります。 1 コカ・コーラにせよナイキにせよ、大成功を収めた、資本主義社会の勝ち組です。 ところで、ここからが問題ですが例えばコカ・コーラが設立された年に、いったいどれだけの企業が設立されたかといえば、おそらく1000社はくだらないと思います。 そして、そのなかでコカ・コーラは大成功し、それ以外にも中成功した企業もあると思いますが、それ以外の圧倒的多数すなわち99パーセントの企業は潰れ、今現在存在していないのです。 つまり、「個別株投資」というものは、それほどハイリスクハイリターンなものであり、これから投資を始めようという高校生にそれを教えようなどというのは、正気の沙汰ではない、というのが私の見解です。 2 百歩譲って、20世紀の日本ならば、それもありだったでしょう。 当時、外貨預金や投資信託といったものは、あったとしても現在よりはるかに小さいスケールのものであり、投資といえば個別株投資しか、選択肢はなかったのです。 3 しかし時代は変わり、21世紀となりました。 現在日本においては、投資信託という金融商品が大きく成長し、そのなかでも株式市場・株価指数そのものに投資するインデックスファンドが目覚ましく成長しました。 さらには、これは日本にとどまらず、というかインデックスファンド発症の地である米国では、日本の数十倍の規模となり、多くの国民がこれで順調に富を増やしています。 投資経験のある教師だけではありませんから、おそらく日本証券業協会や全国銀行協会からの協力を得て、資料なり、教え方をサポートされているのだと思います。 そうでなければ、前述のような「99パーセントの失敗例を語らず、1パーセントの成功例で、投資を語る」という、まさしく昭和の時代の顧客勧誘手段のような愚かな授業が考えられることはありませんから。 さらにいうならば、そもそも証券会社や銀行といった金融機関は、「資産形成のプロ」でもなんでもなく、「資産形成商品で、コストの高い商品を勧め、多額の手数料をかすめ取る、資産形成商品販売のプロ」なのであり、こんな輩に「投資教育をサポートさせる」(笑)など、ブラックジョークの極みというほかございません。 若者に投資教育をするという、本来正しい目的のためには、正しい手段、すなわち正しいカリキュラム、正しい講師が絶対に必要であることを、強く訴えるものです。 |
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