2022/3/27

SMBC日興証券事件について Ⅱ

 SMBC日興証券における、(いわゆる)相場操縦事案についての続編です。
 
 1 最初の逮捕された4人は、「通常の業務」として、犯意を否定しているが、起訴された。
 2 今回逮捕された副社長も同様。
 3 会社も起訴されたが、同様に犯意は認めていない。
 4 いずれにせよ、法治国家たる我が国においては、有罪が確定するまでは、「推定無罪」である。
 
 というわけで、法的な面はともかくとして、社会常識的にどうなのかと述べたいと思います。
 
 一 「証券会社」の仕事は、株式を買いたい(売りたい)という投資家(個人・法人)から依頼を受け、証券取引所で売買する、仲介業者、すなわち第三者である。
 そして、それらの売買の結果、公正な株価が決まる。
 二 と同時に、当事者として、自社資金で株を買う(持っている株を売る)ことも、認められている。
 ただし、この行為はあくまで証券会社自身の自主的判断によるものでなければならない。
 三 そうでなければ、一で記した純然たる投資家の売買を阻害し、不公正な株価形成につながるからだ。
 四 今回同社は、「ブロックオファー」取引で受注した会社の株を、取引き時間終了間際のわずか10分間で大量に買い占めた。
 五 特捜出身の某弁護士が、このことについて、こう言っている。「売買部門が、ブロックオファー関連の株と知って買った証拠が無いなら、違法ではない」
 六 3000社ある上場企業の中から、わずか5社しかないブロックオファー関連の会社の株を、しかも、終了間際の10分間に大量に買うなどということが、事前の了解なしにできるとしたら、それは神業(笑)、というほかはない。
 七 例えば、人の生命を殺める時、殺意があれば「殺人罪」、そうでなければ「致死罪」となる。例えはよろしくないかもしれないが、今回の件は、「殺人罪」には当たらないが、「致死罪」に相当する事案である。
 
 ①個人・法人の投資家が、自らの投資判断に基づいて株式を買い、売る注文を出す。
 買い注文が多ければ株価は上がり、売り注文が多ければ株価は下がる。
 この結果個別株の株価が決まり、市場全体の株価も決まる。
 ②このことを担保するものは、売買注文を取り次ぐ仲介業者たる証券会社の公正さ、である。
 ③自己資金売買が法的に認められているとはいえ、それはあくまで自己判断に基づくものであって、自社の得た情報にもとづいたり、自社の手数料稼ぎのためであるとしたら、たとえそれが違法行為でなかったとしても、社会的に許されるものではない。
 
 大学出て、検事になって、弁護士として活動している、いわば世間の雨風を知らない「お花畑の住人」であるG弁護士、これが「世間の常識」というものなのだよ!
 
 以上、この事件について現在時点で判る情報に基づき、個人投資家たる私の見解を述べました。今後も、随時見解を述べて行く所存です。何故ならば、ある意味、日本株式市場の未来を占う意味もある事案ですから。