2022/8/19

テラ、アンジェス、武田

 東大発医療ベンチャーの「テラ」(東証スタンダード上場)が、自己破産をし、来週中にも上場廃止となる。
 1 この会社2004年に東大医科研学究所発のベンチャー企業として設立され、がん治療のノウハウなどを提供していた。しかしてその実態は、、
  一 頭はそれなりにいいが、ビジネス感覚にない学者を利用し、
  二 ゼニゲバ ベンチャーキャピタリストが会社を牛耳り、
  三 株式を公開し(2009年)、莫大な上場益を手にした、というものである。
  
 ①2018年には創業者が社内規定違反で持ち株を大量に売却し首切られ、
 ②2020年には、コロナ治療薬を開発すると称し、メキシコで臨床研究すると発表し、株価は12倍まで跳ね上がった。
 ③しかし、その内容はほぼ100パーセントホラ話であり(メキシコには悪いけど、新興国で最先端の薬の開発できるわけないだろ)、提携会社セネ社の社長は株価つり上げ操作の疑いで逮捕・起訴されている。
 
 2 ヤバイ医療ベンチャーは東だけではない。大阪大学発の「アンジェス」という会社がある。
  1999年に設立、2002年に東証に上場しているが、なんとこの会社17年連続!で赤字決算なのである。
  この赤字を補うために、増資に次ぐ増資を重ね(投資家から金を集め)なんとか生き延びているが、まあ早晩テラ社と同様の運命をたどるだろう。
  こっちもコロナに乗じてワクチンの開発に乗り出した、2020年のことである。
  ワクチンといえば、皆さまご存じのファーザー、モデルナ社も同時期に開発スタートしたが、こちらはわずか半年余りで完成、試験も経て今や全世界で多くの生命を救っている。
  かたやアンジェス、いまだ臨床試験すらまともに行われていない有様、完成したころにはもうコロナなど皆忘れているころだろう。
 
 3 武田薬品、デング熱ワクチンの世界販売スタート
   インチキ医療ベンチャーが跋扈する中、まともな製薬企業である武田は、デング熱ワクチン製造の成功し、全世界で販売を開始する。
   デング熱とは、蚊を媒介として発生する病気で、東南アジア、中南米に多く、下手すれば死に至ることもある。
   同社はドイツの研究拠点で180億円をかけて開発し、この度成功したものである。
   前述のアンジェスや、コロナ治療薬を開発する塩野義製薬が莫大な国費を貰ったり、ねだったりする中、武田は全額自己資金での開発である。
   ちなみに同社はコロナの治療薬開発にも着手したが、治験結果がうまくゆかず断念した。つまりこの間膨大な研究費を損失したわけだが、それにも屈せず、しかも全額自己資金での開発に成功したわけである。
 
 今資産形成の世界では、ESG投資とか、SDGS推進とかくだらないことが流行っているが、このような金儲けの妄言にだまされてはいけない。
 真に、人類と世界のためになる製品、サービス、企業を選ぶことこそ、皆さまに求められているのでございます。