2023/11/15

成功報酬型投信について

 11月14日付日経新聞「(アクティブ)投信、(手数料)成功報酬型を投入」という記事に関して、内容と見解を述べる。
 
1 投信にかかるコスト
 基本的なこととして、投信にかかる手数料について解説する。
 
 一 購入手数料
 読んで字のごとく、購入時に支払う手数料のことで、だいたい購入額の2~3パーセント程度である。
 
 二 保有手数料
 購入後、毎年支払う信託報酬等のことで、それぞれのファンドにより、ゼロ寸前から1パーセント以上まで雑多である。
 
 三 購入手数料が一回こっきりなのに対し、保有手数料は毎年毎年かかるわけであり、重要度は当然ながら保有手数料が上である。
 
 
2 三井住友トラストの成功報酬型投信
 
 一 今回、三井住友トラストグループは始める成功報酬型投信だが、既に農林中金系運用会社&三菱国際投信が組成しており、大手では三番目となる。
 
 二 概要
  ①初期の信託報酬は年0.05パーセントであり、
  ②基準価格が、目安とするインデックスファンドを上回った場合、上回った額の30パーセントを成功報酬とし、
  ③ ① プラス ②の合計額が、年1パーセントを上限とする、というものだ。
 
 二 背景
  ①アクティブファンドのシェアは毎年減っており、それを食い止める狙いと、
  ②30パーセントの成功報酬を得ることにより、収益を増やすことにある。
 
3 結論
 
 一 インデックスファンドだけ買ってればいい
  ①インデックスファンド VS アクティブファンドの成績は、全世界通じて概ね7勝3敗でインデックスファンドが勝利している。
  ②ということは、この成功報酬型ファンドを買ってそれなりの成功を収める可能性は30パーセントしかない。
  ③ちなみに日経は記事の中で、「インデックスファンドが増えすぎれば、優秀なファンドマネージャーが育たず、資本市場の機能低下につながりかねない」(笑)というジョークをかましている。
  ア 賢い若者はインデックスファンドを選ぶが、頭の悪いジイサンは飽きもせずアクティブファンドを買うので、インデックスファンドが増えすぎることはない。
  イ 上野動物園のサルが50年たってもサルのままであるように、サルより3本毛が多い程度であるアクティブファンドマネージャーなる人種、100年たっても成長するわけないので、育つ・育てるなどという無用な心配はいらない。
  ウ 資本市場、株式市場における主役投資家は投信ではばく、機関投資家や法人投資家の個別株投資であるので、機能低下うんぬんなど、無用な心配だ。
 
 二 金が余って、ヒマならば
  というわけで、サルより賢いヒューマン投資家は、淡々とインデックスファンドを買い続ければよろしい。
 それなりの成果を出し、金と時間が余った方におかれては、ヒマつぶしにこの種のファンドを買うのもありかな、と考える。
 ちなみに、三井住友トラストグループは悪徳銀行業界において珍しく良心的な会社である。例えば、前述 二 ー ③ (上限1パーセント)を見ればそれが判る。
 
 いずれにせよ、投資という自己責任の世界においては、正しい情報と正しい助言者を得ることこそが、成功への最重要要素であります。