2023/12/26

金融機関の勧める商品は買うな!

 経営破綻したスイス金融王手クレディスイス(以下CS、現在はスイス金融トップUBSに吸収されている)が破綻前に発行した社債AT1債を巡り、訴訟が起きている(東洋経済オンライン12月25日付記事参照)。
 
1 AT1債とは?
 一 CSは、経営強化のため全世界にこの債券を売った。
 二 日本でも約1400億円、そのうち950億円を三菱UFJモルガンスタンレー証券(以下MS)が売った。
 三 問題はこの債券の性格である。「経営破綻したら、無価値すなわちゼロ円になる」というものである。
 
2 CS破綻
 このことにより、投資家の保有債券は全て紙くずになったわけだ。
 問題はこの債券の性格を販売金融機関、特に最大販売元のMSが投資家に説明していたかどうかだ。
 ところでMSが売った約900億円に対し顧客は約1000人、つまり一人1億円近い金額を投資していたこととなる。
 大口顧客相手の外資系MSが、国内の成金投資家に言葉巧みに売りつけた、というわけだ。
 
3 訴訟
 前述した説明義務等をめぐり、約100人がMSに対し損害賠償請求の訴訟を起こしたというわけだ。
 裁判となった以上判断は司法の場で下されることなるので、当欄ではどちらが正しいとかは述べない。
 
4 問題の本質
 この問題の本質は、我が国における投資商品売買の実態だ。
 ①預金に代表される「貯蓄商品」における金融機関の利益の源泉は「利ザヤ」であり、預金者の元本は保障される。
 ②これに対し「投資商品」における金融機関のの利益の源泉は「手数料」(フィー)であり、元本保証はない。
 金融機関としては、手数料の高い商品を多額に売ればその時点で利益は確定しており、その後元本が減ろうがゼロになろうが、知ったことじゃないのだ。
 低金利が続くわが国においては、利ザヤで利益を得ることが厳しくなっており、今まで以上にフィー収入に頼る傾向が強まっている。
 外貨保険、仕組債、そして今度のAT1債というわけだ。
 
5 金融機関にダマされるな!
 一 投資商品販売において金融機関が考慮するのは、100パーセント自分のフィー収入であり、顧客の利益など、1パーセントも考えていない
 二 そもそも、MSに代表される金融機関の販売社員というのは、経済のけの字、金融のきの字も知らないアホの集まりであり、
 三 唯一優れているのは、顧客をダマすための販売知識と口の上手さ、それだけであり、要するに金融マンでもバンカーでもない、ただの金融商品の売人なのだ。
 
6 結論
 ここまで書いたら、賢明なる貴方にはお判りであろう。
 金融機関や、そのパシリである自称アドバイザー等を完全無視し、独立中立のファイナンシャルプランナーのアドバイスを受ける。
 そして、国が創った最高の制度たるiDeCoやNISAを利用し、インデックスファンドを、売人のいないネット銀行やネット証券で買う、このことに尽きるのであります。